コエゾゼミ 【 小蝦夷蝉 】



長野県北安曇郡白馬村 2021年8月21日・撮影 (白馬鑓ヶ岳中腹で)


標高1000mくらいまでの山地にすむというが、このセミがいたのは、杓子沢のコルより先で、白馬鑓ヶ岳へ登る中腹だったから、標高は2700mくらいはあったと思う。
ここで羽化したとは思えないので、久々に晴れて陽射しが出たから、上昇気流にでも乗って、ここまで飛んできたのかもしれない。ジー……と連続して鳴いていた。でも、周りに雌がいるようにはとても思えなかったが…。
コエゾゼミは、前胸背外片(首の後ろ側)に黄褐色の帯があるが、これが途中でとぎれている。


エゾゼミ 【 蝦夷蝉 】



長野県北安曇郡白馬村 2021年8月21日・撮影 (白馬鑓ヶ岳頂上で)

(前胸背外片に褐色の帯があり、これが途中でとぎれていないので、エゾゼミだと思う。)


白馬鑓ヶ岳の頂上に着いたら、岩の上にまるで置物のようにセミが落ちていた。さっきも登ってくる途中にセミを見かけたので、なんだか、ビックリした。まさか同じセミが付いてきたわけではないだろうとは思ったが、近年、私はセミにヤケに好かれている。
ふいに飛んできたかと思うと、胸や腕に止まり、ときには鳴き出すヤツもいる。何か変なのである。私を木と間違えているようなのである。このときは山頂はもうガスがわき始めていた。
セミは生きているのかな? と思った。別に考えもなしに何気なく人差し指を出してみたら、なんと、脚を動かして私の指に留まった。そしてしばらくしたら、なんと鳴き出したのだ。それも、ジー……というか、ギー……という、信じられないような大きな声で鳴き出したのだ。こっちとしては慌てたぜ。何がどうしてそうなったのか、よくはわからなかったが、とにかく写真だよ、写真を撮らなきゃあと思った。そして、そっとセミを岩の上に戻し、すぐに写真を撮った。こんなチャンスはまたとないと思い、スマホで動画も撮った。たっぷり撮らせてもらった。それにしても、なんだか不思議というか、変な出来事だった。
頂上では、乾燥米から今朝作った昼飯を食べながら、小1時間くらいのんびりとした。ガスが沸いたかと思えば、一瞬日が差したり、また曇ったりで、天狗山荘方面も、白馬岳方面もほとんど見えず、山の写真はまったく撮れなかった。でも、なんとなく楽しかった。
帰りに岩の上を見たら、セミはまだいた。かわいそうだから、もうかまうのはやめて、そのままにして、下山した。


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