2020年 四国八十八ヶ所遍路　 その５　　2021年1月30日更新 (つづき） 13日目。天気は晴れ。「海の駅とろむ」から、2.5kmほど歩くと、室津の町の小高い丘の上の25番札所、津照寺に着く。見上げるような長い石段を登る。124段だそうだ。室津港が見渡せる。かつては遠洋マグロ漁港として栄えたという。室戸市役所もこの町にある。 ご本尊は延命地蔵尊で、別名「楫取(かじとり）地蔵」と呼ばれ、漁師の守り仏になっている。 25番札所、津照寺（しんしょうじ）　鐘楼門 高知県室戸市室津　2020年10月６日・撮影 津照寺から3.8km、標高165ｍの山中に、26番札所、金剛頂寺がある。歴史ある大きな寺で、若き空海の修行の地といわれている。 現在、遍路の間で有名なのはこの宿坊の料理である。豪華な海鮮料理は、質、量ともに数ある遍路宿の中で、ランキング第１位だという。2019年に私が泊まったときも、その評判にたがわず、すごかった。まさにスゴイの一言に尽きる。今回は、ここに着いたのは正午だった。いくらなんでもまだ泊まるわけにはいかないので、先を急いだ。下りの道は、宿坊の裏手を行くのだが、始めのうちは分かりづらい。標識があるので結局その通りに進み、不動岩に出てしまった。でも、ここが由緒ある遍路道だという。 道の駅キラメッセ室戸で、弁当を買って、のんびり昼飯を食べた。晴れた穏やかな日で、気分は最高だった。 26番札所、金剛頂寺（こんごうちょうじ）　本堂 高知県室戸市元乙　2020年10月６日・撮影 錫杖頭　金剛頂寺 高知県室戸市元乙　2020年10月６日・撮影 道の駅キラメッセ室戸 土佐湾　道の駅キラメッセ室戸の海岸から 高知県室戸市　2020年10月６日・撮影 （海を見ながら弁当を食べた。目指す足摺岬は遙か遠く、霞んで見えない。） 立石休憩所 高知県室戸市吉良川町　2020年10月６日・撮影 道の駅から5kmほど、吉良川町を過ぎ、海岸沿いに立石休憩所がある。トイレと併設だが、入り口が反対で、あまり気にはならない。むしろ夜間の車の音のほうがうるさい。目の前に海が見える。宿泊者は私１人だった。今日の歩行距離は、約14km。 夕日　立石休憩所　今日も遍路の１日が終わる。 高知県室戸市吉良川町　2020年10月６日　17：39・撮影 ＊ 14日目。左手にはゆるい弧を描く土佐湾とそこから広がる大海原を眺め、右手には四国山地が長い年月をかけて擦れ落ちてきた小高い山裾を見ながら、国道55号をただひたすら西へと歩く。天気は晴れているが、南方海上には台風が発生しているそうだ。 5kmほど歩くと、羽根岬があり、そこで遍路道は標高110ｍほどの中山峠を越える。海岸線の道とはいえ、山の尾根が岬へと突き出たようなところでは、峠や山の上り下りがある。 遍路道がふたたび海岸線に出ると、御霊跡（ごれいせき）と大師堂がある。御霊跡のお堂の前の海岸は、大々的に護岸工事をやっていた。どのように変わってしまうのだろう。地名は、室戸市から奈半利町に入る。 御霊跡（ごれいせき） 高知県奈半利町　2020年10月７日・撮影 たのたの温泉 高知県奈半利町　2020年10月７日・撮影 奈半利の町からは、土佐くろしお鉄道阿佐線（通称ごめん・なはり線）が走っている。奈半利川橋を渡ったとき、目の前に大きな看板が目に入った。「たのたの温泉」と書かれている。すぐそこらしい。地図を見た。かつては二十三士温泉といったらしい。うむー、入るべきか、入らざるべきか、迷う〜。わずか200ｍくらいのところにあるのに、素通りするのはもったいない。立ち寄ることにした。 昼間だから、空いていて、いい温泉だった。やはり身体がだいぶ楽になる。そして、温泉に入と、腹が減る。しばらく歩くと、田野駅前の道の駅田野駅屋に着いた。 やはり遅い昼飯を食べておくことにした。米が食べたかったので、すり身丼というのを食べた。魚のすり身を親子丼のような味付けにしたものだった。おいしかった。 さて、寝床だな…。３時は過ぎていたが、やはり駅前でもあり、まだ人が多い。それに、空模様が怪しくなってきた。天気が悪くなりそうなときは、野宿はやはり止めておくのが賢明だろう。そんなこんなで、結局先に進むことにした。そして、唐浜(とうのはま)の民宿に電話して素泊まりを頼んだ。 道の駅　田野駅屋 高知県奈半利町　2020年10月７日・撮影 しばらく歩くと、案の定雨が降り出した。民宿泊まりにしたのは正解だったかもしれない。唐浜までは５kmほどだったが、ずいぶん遠く感じられた。昼間の温泉は疲れるのかもしれない。民宿とうの浜に着いたときは、薄暗くなりかけていた。この民宿は、泊まったことはなかったが、以前の民宿きんしょうだった。このあたりの旅館や民宿は近年変わり方が激しい。 本日の歩行距離は約18km。日毎に短くなっていく。 （つづく） （2021年1月　更新）

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