▲2022年7月25〜30日 北アルプス白馬岳 夏山登山
夏の恒例になった感がある白馬岳登山に行ってきた。今年は、梅雨明けは早かったが、なかなか安定した夏型の晴れの天気にならず、予定を3回ほど延期した。でも、このまま待っていたら8月に入ってしまいそうだったので、思い切って見切り発車した。
案の定、天気はあまり良くなかった。おまけに雲上でもコロナの影響をモロに受けてしまった。テント場の隅には感染者の大きな赤い隔離テントが張られていた。また、頂上直下の白馬山荘は、27日突如営業自粛に突入した。
今や山小屋もテントも完全予約制だから、金・土・日はほぼ満室! そんなわけで、日程やコースの変更が思うにまかせず、結局、全5泊ともテント泊を遂行した。だが、エアーマットがパンクしたり、テント(ツエルト)内が床下浸水になったり、あれやこれやいろいろあって、いやはや惨憺たる登山でありました。でも、楽しかったなあ〜。やっぱ山はいいなあ〜。 |
杓子岳(左)【 2812m 】
白馬鑓ヶ岳(右) 【 2903m 】
長野県北安曇郡白馬村 (お花畑から) 2022年7月30日・スマホ撮影
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▼1日目 栂池高原からゴンドラリフトとロ−プウェイで自然園駅へ。
自然園駅から歩き出し、天狗原、白馬乗鞍岳を経て、白馬大池山荘テント場泊。
ヒメシャジン 【 姫沙参 】 ミヤマシャジン (白馬乗鞍岳 2437m)
長野県北安曇郡小谷(おたり)村 2022年7月25日・撮影
(萼片は細く、突起状の鋸歯がある。)
ライチョウ 【 雷鳥 】 (白馬乗鞍岳)
長野県北安曇郡小谷村 2022年7月25日・撮影
▼2日目 白馬大池山荘テント場から、雷鳥坂、船越ノ頭、小蓮華山、三国境、白馬岳を経て、白馬頂上宿舎テント場泊。
白馬大池山荘 【 早朝から遭難救助ヘリが出動 】
長野県北安曇郡小谷村 2022年7月26日・撮影
長野県北安曇郡小谷村 2022年7月26日・撮影
白馬大池も、その畔に建つ白馬大池山荘も長野県にあるが、新潟県との県境に位置している。ヘリコプターは新潟県だった。隊員8名ほどが出張っていて、糸魚川消防のそろいの赤い服を着ていた。怪我人か病人を街へ降ろしたようである。
この写真を載せたのは、新しいカメラで撮ったからだ。これだけ撮れることを見せたかったのだ。カメラ自慢ではない。だって、型落ち、生産終了の超安中古一眼ミラーレスカメラ、オリンパスOM-D E-M10-Uなんだから。このカメラはとにかく小さくて軽くて安い。レンズも標準ズーム14-42mmは世界最薄のパンケーキレンズなのだ。このレンズ1本で行った。望遠は35mm判換算で、×2になるので、84mmまで伸びる。面積で1/4程度まで、かなりトリミングしてあるが、ここまで撮れているのだから、動きのあるものをとっさに撮った割には、まずまずの写り具合だろう。と、自分で納得。とにかく荷物の徹底した軽量化をはかったのだ。遂にカメラにも手をつけ、減量を強いた。
次は、食料(と酒)。主食は乾燥米とインスタントラーメンと焼きそばとパン。軽いものばかり。おかずもお菓子もなし。酒は焼酎の「白岳」を1合だけ。あとは小屋で買うか、食堂で食べる。
その次が着替えだろう。予備を1式持ったが、結局ほぼ着替えなかった。着替えたら予備がなくなってしまうから…?。
そんなこんなで、徹底した軽量化をはかったのに、やっぱり荷物は重い。 |
小蓮華山 【 2769m 】 (雷鳥坂より)
長野県北安曇郡小谷村 (雷鳥坂) 2022年7月26日・撮影
チシマギキョウ 【 千島桔梗 】
長野県北安曇郡小谷村 (雷鳥坂) 2022年7月26日・撮影
鉢ヶ岳 【 はちがたけ 2563m 】 三国境より雪倉岳方面を見る
新潟県糸魚川市 (三国境) 2022年7月26日・撮影
三国境 【 みくにさかい 2751m 】 白馬岳方面
長野県北安曇郡小谷村 (三国境) 2022年7月26日・撮影
三国境は、長野県白馬村、新潟県糸魚川市、富山県朝日町の3つの県の県境になっている。
ミヤマタンポポ 【 深山蒲公英 】
長野県北安曇郡白馬村 (白馬岳) 2022年7月26日・撮影
タカネシオガマ 【 高嶺塩竃 】 (後ろは旭岳2867m)
長野県北安曇郡白馬村 (白馬岳より) 2022年7月26日・撮影
シコタンソウ 【 色丹草 】
長野県北安曇郡白馬村 (白馬岳) 2022年7月26日・撮影
ミネウスユキソウ 【 峰薄雪草 】 (白馬岳)
長野県北安曇郡白馬村 (白馬山荘前) 2022年7月26日・撮影
白馬山荘レストラン スカイプラザ白馬で 【 昼食、カレーライス 】
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月26日・撮影
(翌日、27日に、白馬山荘は突如営業自粛となった。スタッフにコロナ感染者が出たのである。
この日、昼食のメニューはすでにカレーライスとハンバーガーだけしかなかった。そのとき、なんだか変だなあと感じた。)
▼3日目 雨で停滞。丸山先のお花畑まで、散歩。ガスが出て景色がまったく見えないので、杓子岳も登らず、引き返した。
白馬頂上宿舎テント場連泊。
イワヒバリ 【 岩雲雀 】 霧の中
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月27日・撮影
イワベンケイ 【 岩弁慶 】
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月27日・撮影
クルマユリ 【 車百合 】 霧の中のお花畑
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月27日・撮影
白馬頂上宿舎 食堂で 【 昼食、牛丼 】
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月27日・撮影
(写真には人が写っていないので、閑散としているように見えるが、実際には登山者は結構多く、霧や雨になると食堂に休憩に入ってくるので、混雑していた。)
▼4日目 登山道の大雪渓コースを途中まで下り、避難小屋のあるお花畑までを往復。変則ルート。白馬頂上宿舎テント場、連泊。
ウルップソウ 【 得撫草 】 (白馬岳)
長野県北安曇郡白馬村 (村営頂上宿舎下のお花畑) 2022年7月28日・撮影
稜線のウルップソウは、ほとんど花が終わっていたが、頂上宿舎下のお花畑には、わずかに2,3株が花を咲かせていた。
今回はこの花が主な目的だったので、何とかそれらしい写真が撮れて、まずは満足。てなわけで、この日も食堂でビール。ビールの写真はなし。
コイワカガミ 【 小岩鏡 】
長野県北安曇郡白馬村 (村営頂上宿舎下) 2022年7月28日・撮影
オタカラコウ 【 雄宝香 】
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月28日・撮影
ハクサンフウロ 【 白山風路 】

長野県北安曇郡白馬村 2022年7月28日・撮影
オオカサモチ 【 大傘持 】
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月28日・撮影
オオハナウド 【 大花独活 】
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月28日・撮影
花は(複)散形花序をしていて、周辺部の花は中心部の花より大きく、花びらの長さも異なり、左右相称になっている。 |
(2022年8月12日更新) |
▼5日目 清水岳(しょうずだけ、2603m)往復。白馬頂上宿舎テント場、連泊。
杓子岳(左)
【 2812m 】 白馬鑓ヶ岳(右)
【 2903m
】
長野県北安曇郡白馬村 (白馬岳頂上宿舎前の登山道から) 2022年7月29日・撮影
コバイケイソウ 【 小梅尅吹@】 (後ろは旭岳)
富山県黒部市 2022年7月29日・撮影
主稜線から旭岳へ向かう道を降りていくと、雪田の手前にコバイケイソウの群落が広がっていた。今年はこの花の当たり年のように見えた。
清水岳への登山道は、旭岳の頂上を通らないで巻いている。 |
(2022年8月12日更新) |
裏旭岳 【 うらあさひだけ 】 (2733m)
富山県黒部市 2022年7月29日・撮影
コマクサ 【 駒草 】
富山県黒部市 旭岳付近 2022年7月29日・撮影
小旭岳 【 こあさひだけ
】 (2636m)
富山県黒部市 2022年7月29日・撮影
登山道は小旭岳頂上の南側(左側)を巻いている。
ハクサンイチゲ 【 白山一華 】
富山県黒部市 2022年7月29日・撮影
ハクサンシャクナゲ 【 白山石楠花 】
富山県黒部市 2022年7月29日・撮影
ハクサンコザクラ 【 白山小桜 】
富山県黒部市 2022年7月29日・撮影
清水岳 【 しょうずだけ 】 (2603m)
富山県黒部市 2022年7月29日・撮影
ミヤマアズマギク 【 深山東菊 】 (清水岳)
富山県黒部市 清水峠 2022年7月29日・撮影
ミヤマバイケイソウ 【
深山梅尅 】
富山県黒部市 清水岳 2022年7月29日・撮影
山地や高原に生えるバイケイソウの高山型で、草丈がやや低い。花は淡い黄緑色をしている。 |
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5日目は、何とか雨にも降られず、花の名山といわれている清水岳ピストンを終えたが、テント場に戻ったのは午後5時半過ぎになってしまった。危ないところだった。食堂はもう営業していなかったが、売店で1個300円のあんパンとジャムパン、それから200円のチョコレートを買った。明日の昼飯と行動食である。白馬鑓ヶ岳まで往復するつもりだった。そして、テント場にもう1泊連泊するつもりだった。だが、そのあと、とんでもないことが起こったのだ。
“とんでもないこと”とは、勿体振らずに結論から書こう。カメラが故障したのである。
レンズがウンともスンとも動かなくなってしまったのだ。エラー表示は「レンズの状態を確認して下さい」だった。このレンズは電動ズームとかで、スイッチを入れても、レンズがビューンと伸びてズーミングしないと、写真が撮れない。
暗くなったテント場で、最後のインスタントラーメンを作っていたとき、カメラなんかいじくるからこういうことになるのだろうか。ああっー! やっちまったぜ。まさに、目の前が真っ暗になった。5日間で2200枚ほど撮ったから、1日平均で440枚ほどで、連写はしないから、カメラを酷使したというシャッター数ではないと思うのだが…。まあ、ここ2,3日雨に濡れたし、荒っぽく使ったからなあー。
交換レンズも持ってこなかったから、お手上げである。もちろん5個も持ってきたバッテリーも使い切っている。スマホ用の携帯バッテリーから充電してなんとか使ってきた。あとは、小屋の携帯充電サービスを100円出してお世話になっている。幸い電波状態が悪くて、スマホがほとんど使えないので、スマホを充電しなくて助かっていた。でも、写真が撮れないのなら、明日白馬鑓ヶ岳まで行ってもどうしようもないし、意味がない。ヘタな写真でも、まったく撮れないのなら、面白くも可笑しくもない…。やはり登山より写真なんだ…。下山しよう。もう、帰りなさいという意味だろう…。そう解釈した。
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(2022年9月1日更新) |
▼6日目 カメラが故障して、万事休す。急遽、大雪渓コースを猿倉へ下山した。
だが、こういう日に限って天気がいいんだよなあ〜。スマホでバッテリーを気にしながら、それでも300枚くらいは撮った。結構の枚数撮れるものなんだなあ。 |
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朝の
杓子岳(左)と
白馬鑓ヶ岳(右) 【 2812m 2903m 】

長野県北安曇郡白馬村 (白馬岳頂上宿舎の食堂入口の左横から) 2022年7月30日、朝5:13・スマホ撮影
長野県北安曇郡白馬村 (丸山付近から) 2022年7月30日、朝6:48・スマホ撮影
朝の
旭岳 【 2867m 】
長野県北安曇郡白馬村 (稜線から) 2022年7月30日、朝6:28・スマホ撮影
白馬岳頂上宿舎テント場
長野県北安曇郡白馬村 (小雪渓) 2022年7月30日・ 9:41スマホ撮影
ここにシングルツェルトで4泊した。エアーマットがパンクしたのが一番堪えたなあー。夜中に空気が抜けてきて、ペチャンコになってしまうのだ。
だから、2回くらいは自分が寝ているマットに口で息を吹き込んで膨らませなければならない。
これはかなり高度な体位を駆使しなければならなかった。呼吸も、体を片腕腕立て伏せ状態で、浮かせた間に吹き出すのである。いやはや…。 |
白馬岳 小雪渓上部
長野県北安曇郡白馬村 (小雪渓上部) 2022年7月30日・ 9:41スマホ撮影
救助なのか、訓練なのか、よくわからなかったが、隊員がロープで素早く降りて、そのあと人を吊るし上げ、あっという間に飛んでいった。
この地点は、小雪渓のさらに上部でかなりの急斜面だから、間違っても下から登ってくることはありえないし、
上からの滑落ならまともな状態ではないだろうし、何か変な場所での、不可解な行動だった。まあ、遭難とは得てしてそんなもんかもしれないが…。
白馬岳 小雪渓 【 しょうせっけい 】
長野県北安曇郡白馬村 (小雪渓上部) 2022年7月30日・ 9:41スマホ撮影
小雪渓のトラバースは距離は短いが、下の方が切れ落ちているので、滑落したらかなりヤバイというか、おさらばである。
だからオイラは真面目に軽アイゼンを着けた。
この日は土曜日とあって、このときちょうど半分ほどカッティングをしてくれていた。
白馬大雪渓 【 しろうまだいせっけい 】 上部雪渓終了地点
長野県北安曇郡白馬村 (大雪渓上部) 2022年7月30日・ スマホ撮影
白馬大雪渓 【 しろうまだいせっけい 】 下山

長野県北安曇郡白馬村 2022年7月30日・ スマホ撮影
猿倉荘
長野県北安曇郡白馬村 2022年7月30日・ スマホ撮影
猿倉荘のこの右下がロータリーになっていて、白馬駅までバスとタクシーが発着している。オイラにはもちろん、今年も家人のお迎えの車が来てくれた。なんとか無事下山できた。 |
(2022年9月24日更新) |
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